将来世代に受け継がれていくための英知を
中山間地域フォーラム会長 佐藤 洋平
38万6千haといわれる耕作放棄地の多くは中山間地域のような生産条件に恵まれていない地域にみられます。こうしたかつての農耕地に限らず、農用地、山林、集落、自然などすべてを含む環境である中山間地域は、農林業を営みそこに生活する人々によって形成されたものです。それは、人々の暮らしによって紡がれる知識、体験、文化、慣習、歴史すべてを吸収して作られてきました。長い年月を経て緩やかに形づくられてきたのであり、私たちに「生産財」「文化財」などとして遺され譲り受けられた「財」なのです。
しかし、中山間地域では人口減少、高齢化がすすみ、昨今では、地域を維持することも困難な状況に直面するようになりました。こうした状況について、一部には、耕境が縮退したのであるから、生産条件の不利な地域からは撤退するべきであるという論調もみられるようになりました。しかし、こうした結論に至るのは少し早すぎるのではないでしょうか。その前に、知恵を出す余地はまだまだたくさんあり、私たちは英知を傾ける必要があると思います。林業家は、前世代が育てた樹木を伐り出して生計を立てるとともに、次世代のために植林し育林して山林を保続しています。同様に、将来の世代が利用できるように農地、山林、集落、自然など環境を保続することは私たち現世代の責務ではないでしょうか。
中山間地域は、多くの日本人のふるさとであり重要な多面的役割を担い可能性に満ちたかけがえのない地域です。中山間地域フォーラムは、その再生を目指す、さまざまな分野の専門知識や豊かな実務や実践の経験を有する産学官民などの有志によるネットワークです。新たな時代における中山間地域のあり方や振興策について英知を結集し、政策提言などを行うとともに、地域における自主的な創意工夫と努力による取組みに対して総力を挙げて協力し支援することを目的にしています。
中山間地域が将来の世代に受け継がれていくために私たちと共に熱意と英知を注いでくださる皆さんの参加を心から歓迎いたします。


