設立主旨
 わたしたち日本人のふるさとであり原風景でもある農山漁村地域、なかでも平野の外縁部から山間地に至るいわゆる「中山間地域」には、多様な自然や生態系、美しい風景や伝統文化がまだ豊富に残されており、食料や林産物の生産だけでなく、自然環境や国土の保全、水資源の涵養、グリーンツーリズムや情操教育の場の提供など都市の人々にとっても多面的で重要な役割を果たしています。
 特に最近は、ゆとり・やすらぎ、安全安心が求められ、美しい農山村景観などの地域資源の保全活動、スローライフ運動、バイオマスエネルギー活用への関心なども広がる中で、国土面積の7割を占めるこの地域に対する国民の関心も高まってきています。
 しかし、中山間地域は、総じて高齢化率が高く、過疎化が進行しており、コミュニティ機能の低下した地域では、耕作放棄地の増加、鳥獣害の発生、伝統的祭事の衰退、景観の荒廃などの深刻な事態が生じています。
 国土交通省のアンケート調査(2004年)によれば、全国の約2割の市町村で今後「集落消滅の可能性がある」とされていますが、そのほとんどもこの地域であろうと思われます。特に、今後予想されるわが国の人口減少、公共事業の減少、グローバル化による市場主義の一層の徹底などは、中山間地域に深刻な影響を与えることが懸念され、下流域の都市生活にその影響が及ぶおそれもあります。
 平成12年度から実施されている中山間地域等直接支払制度は、農業生産条件の不利を直接補正し農業生産の継続等に当面の効果を発揮していますが、さらに高齢化の進行する将来については不安を抱く意見も多く聞かれるようになっています。また、最近の「都市再生」や市町村・農協の広域合併により、中山間地域の条件の不利な集落にきめ細かい配慮や支援が行き届きにくくなるのではないか、との懸念も広がっています。
 このように中山間地域をとりまく状況が一層厳しくなる中で、各地では、住民主体のさまざまな努力が行われており、行政や農林業団体のほか、研究者やNPOなどの支援活動も広がっています。そして、さらに総合的な取り組みが急務であることに鑑みれば、今後は、様々な分野の専門知識や豊かな実務経験を有する産官学等の有志がネットワークを作り連携し、新たな時代における中山間地域のあり方や振興策について英知を結集し、政策提言を行うとともに、地域における自主的な取り組みに対して総力を挙げて協力し支援していく必要があると考えます。

中山間地域とは:
もとは農林統計の用語。地域を耕地の傾斜度や林野率などの指標から都市的地域、平地農業地域、中間農業地域、山間農業地域に分けた場合、中間農業地域と山間農業地域のこと。平野の外縁から山間に至る地域で、耕地は傾斜地が多く、林野率も高い。里地・里山と呼ばれる地域が含まれる。総面積は日本全体の65%にのぼり、耕地面積、農業産出額、農家人口とも全国の約4割を占める。

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